コリアンダー

●英名:Coriander
●和名:こえんどろ、芝茜
●学名:Coriandrum sativum L.
●科名:セリ科の一年生草本
●原産地:南ヨーロッパ、地中海沿岸
●主産地:旧ソ連からヨーロッパにかけてのユーラシア一帯、グアテマラ、アルゼンチン、アメリカ、カナダ、メキシコ、インド、インドネシア、マレーシア、イスラエル、中国など

 原産は南ヨーロッパで、セリ科の一年草である。古い歴史を持つスパイスの一つで、現在では世界各地で広く栽培されている。
 スパイスとして利用するのは種子であるが、国によっては葉もよく利用されている。葉と実では全く香味が異なる。
 葉および未熟な実の匂いはクセが強く、よく南京虫の悪臭に例えられる。一方、完熟した実はアニスのような、あるいはレモンとセージを合わせたような、さわやかな芳香である。学名のコリアンドルムは、南京虫Koris+アニスの種子Annonを意味するラテン語に由来している。
 最近、日本でも徐々に葉を使った料理が増えてきているが、スパイスしての重要度・頻度からいえば、圧倒的に完熟シードが上回る。
 品質の評価は、粒の大きさと芳香成分であるリナロール臭の強弱によって決まる。一般的には、小粒の方が香味が強い。

《産地による分類》
■大粒タイプ……インド、モロッコ、インドネシア、マレーシア産。
■中粒タイプ……トルコ、イスラエル産。
■小粒タイプ……ロシア、ポーランド、ルーマニア、ハンガリー、イタリア、アルゼンチン、中国、メキシコ、アメリカ、カナダ産。

コリアンダーの香味

 青葉や未熟な実がもつ香りの主成分は、カプリアルデヒドである。種子が完熟するとこの臭気がなくなり、レモンとセージを合わせたような、さわやかな芳香に変わる。この成分は、リナロールの一種であるコリアンドロールで、精油の60〜70%を占めている。

コリアンダーの利用法

コリアンダーの青葉とシードは香味が全く異なるため、適した料理や使い方も異なってくる。
■青葉の料理
 葉は香菜(こうさい、シャンツァイ)とも呼ばれている。クセある臭いをもつので、嗜好性が強い。食べ慣れない人にとっては、一度で辟易する人、病みつきになる人の両極端に分かれるようだ。
 しかし、若い苗の芳香は欧米人や中国人に大変好まれており、台湾から東南アジア、インドにかけての地域では、常食されている。
 利用方法はパセリと同じく、冷菜の飾りにしたり、スープやおかゆに散らすことが多い。肉類の消臭効果もあり、中国料理では、マトン料理のタレの中に細かくきざんだ葉を加える。また、インドタイプのカレー料理やチャツネを作る際にも、コリアンダーの葉は欠かすことができない。
■シードの料理
 完熟シードは、肉や卵、豆料理など、幅広く利用されている。ホウルをピクルスやカレー料理に使ったり、パウダーをソーセージや挽肉料理の臭み消しに利用する。インドでは種子を挽く前に軽く焙煎する。焙煎することで、甘味料理にも使えるようになる。  コリアンダーの使い方のコツは、他のスパイスと同様に、多く加えすぎないことである。また、単独で使うよりは、他のスパイスと合わせて使う方が失敗がなく、より効果を発揮する。相性がいいスパイスは、甘い芳香をもつアニス、クローブ、シナモン、カルダモン、ナツメグ、セージなどで、合わせて使うことにより、クッキーやパンなどのベーキング料理や、チョコレート・カスタード・ゼリーなどの甘いお菓子にも合う。
 また、コリアンダーは、カレーパウダーやチリパウダーなどの混合スパイスの成分としても欠かすことができない。

コリアンダーの薬効

 種子は健胃、駆風、去痰、解毒、鎮静作用があり、種子の抽出物には抗菌作用がある。その昔は、防腐剤や催淫剤として媚薬に調合もされていた。

コリアンダーの栽培

■春まきで種から栽培する。移植に弱いため、種から育てた方がよい。日本でも栽培できるが、発芽にはある程度の高温が必要なため、朝晩の冷え込みが厳しい寒地では、4月下旬以降にまく。暖地では秋まきも可能である。
■葉は30〜40日で収穫可能である。花がつき始めると茎が固くなり、葉の食感が悪くなってしまうため、若葉のうちに摘み取ること。
■種子は7〜8月ごろ、実の色が緑から黄褐色になり、十分に熟してから収穫する。未熟な実が混じらないよう注意する。収穫後、完全に乾燥させることで香り高いスパイスとなる。

コリアンダーとカレー料理

 コリアンダーは、カレーには欠かせないスパイスの一つである。上記の薬効以外にも、水分代謝促進と解熱効果がある。
 最近の日本の夏は35℃を超える日が少なくなく、猛暑に身体がついていかない人も多いのではないだろうか。こんな時こそ、暑い国の知恵を拝借しようではないか。コリアンダー入りのカレーを食べて水分代謝を促し、なおかつ、解熱効果で体温を下げる。暑い夏こそカレーを食べて、夏バテ防止に心掛けたい。
 そして何より、コリアンダーには不安や落ち込みを和らげ、幸せ感を増す効果があるらしい。カレーが大好物な人が多いのは、味はもとより「食べたら幸せな気分になる」からかもしれない。また、悩みや不安を抱えている人にも、ぜひコリアンダー入りのカレーを食べてほしい。心が楽になるかもしれない。
 幸せ気分になれるカレーは、夏だけではなく、一年を通して食べたい料理である。